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銀盤の森のホットドリンク

銀盤の森のホットドリンク

一面の銀世界。吐き出す息が白く染まる中、エミリアは大事そうに青い缶を握りしめていました。

「ふふっ、これ、すっごくあったかいわね」

隣を歩くスバルに、エミリアが顔をほころばせます。

「だろ?冬の自販機の定番、『コーンポタージュ』だ。熱いから気をつけて飲めよ」

「こーんぽたーじゅ……。ふー、ふー……。……あむっ。ん、おいしい!とっても甘くて、なんだかホッとする味だわ」

一口飲んで目を丸くするエミリア。寒さで少し赤くなった鼻先が、なんとも愛らしく動きます。

「気に入ってくれてよかったよ。エミリアたんは寒さに強いイメージだけど、やっぱり温かいものは別腹だよな」

「もう、スバルったら。いくら氷の魔法が使えても、心までは凍ってないもの。こうして一緒に歩きながら飲むと、いつもよりずっと温かく感じるから不思議ね」

エミリアは再び缶を口に運び、満足そうに喉を鳴らしました。

「ねえ、スバル。あっちの大きな木の影に、パックも呼んであげましょう?きっとこの『温かい』を教えてあげたら、あの子も喜ぶと思うの!」

「いいぜ。じゃあ、戻ってもう一本買ってくるから、ここで待ってろよ?」

「ええ、待ってるわ。急がなくていいから、転ばないように気をつけてね」

真っ白な森に、エミリアの鈴を転がしたような笑い声が優しく響きました。

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「……ん、ふわふわ。……こっちにおいで」 撮影スタジオの隅っこ。ピンク色のフリフリ衣装に身を包んだこずえが、大きなクマのぬいぐるみを抱きしめて、熱心に何かを語りかけていました。 「こずえちゃん、お疲れ様! 撮影、すごく可愛かったよ。……って、何してるの?」 片付けを終えた千枝が、不思議そうに覗き込みます。 「あ、ちえ……。……いま、大事な相談中」 「ぬいぐるみさんと? もしかして、お腹が空いたとか?」 「ちがうの。……この子、おうちに帰りたくないって。……お菓子がもっと食べたいって……言ってる」 「えっ、そ、そうなの?(さすがこずえちゃん、想像力が豊かだなぁ)」 千枝が苦笑いしながら隣に座ると、こずえは真剣な表情でクマの耳をパタパタさせました。 「ちえ……。この子を、こっそりおうちに連れて帰るには……どうしたらいい?」 「ええっ!? 持ち帰っちゃダメだよ! それはスタジオの備品……あ、いや、大事な撮影道具なんだから!」 「……でも、この子……『ちえのポケットなら入れる』って」 「私のポケット!? 無理だよ、このサイズのクマさんは四次元ポケットじゃないと入らないよ!」 「……じゃあ、ちえの帽子の中……」 「脱いだらすぐバレちゃうよ!」 こずえは「むー」と頬を膨らませると、今度はクマを自分の頭の上に乗せました。 「……こうすれば、こずえの一部……。……髪の毛、ちょっと茶色くなっただけ」 「無理があるよ! 誰が見てもクマさんが乗ってるだけだよ!」 「……バレた?」 「バレバレだよ! もう、こずえちゃんったら……」 千枝がツッコミを入れると、こずえは満足そうに「ふふっ」と笑い、クマをぎゅーっと抱きしめ直しました。 「……うそ。……この子、ここが大好きだって。……また明日も、ここでちえと遊びたいって……言ってる」 「あ……なんだ、冗談だったの? もう、びっくりさせないでよ」 「……えへへ。……ちえ、おもしろい」 「もう! ほら、プロデューサーさんが呼んでるよ。クマさんにバイバイして、着替えに行こう?」 「……うん。……バイバイ、茶色いの。……また明日、こずえを可愛くしてね」 こずえは最後にクマの鼻にちょんと触れると、千枝の手を引いて、ふわふわとした足取りで楽屋へと向かっていきました。

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