銀髪の少女と瓦礫の街
エミリアは瓦礫の山に立ち、きょろきょろと辺りを見回した。 見覚えのない、高く切り立った建物に挟まれた狭い路地。精霊の気配も、騒がしい相棒の声もしない。
「すごーく困ったわ。勝手に歩き回ったら、またスバルに『お節介焼きの駄目な子』って言われちゃう」
彼女はぷくっと頬を膨らませたが、すぐに真剣な表情に戻って自分の服を見た。
「でも、この格好……なんだか少し、そわそわするわね。スバルが喜びそうだけど……ううん、そんなこと考えてる場合じゃないわ!」
ガシャン、と奥の路地で音が響く。エミリアはビクッと肩を揺らし、その場に身構えた。
「だ、誰かいるの? 私はエミリア。ただの迷子だから、悪さをしに来たわけじゃないのよ!」
返事はない。ただ、冷たい風が彼女の銀髪を揺らす。エミリアは震える足を一歩前に踏み出した。
「……返事がないなら、こっちから行くんだから。やっつけたりしないわよ、お話がしたいだけなんだから。いい? 本当よ?」
自分に言い聞かせるように呟きながら、彼女は瓦礫を乗り越えていく。
「もー、本当にパックはどこに行っちゃったのよ。……帰ったら、たっぷりお説教なんだからね!」
不安をかき消すような彼女の独り言だけが、静かな廃墟に響いていた。
ふわふわクマさん脱出計画
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「……ん、ふわふわ。……こっちにおいで」 撮影スタジオの隅っこ。ピンク色のフリフリ衣装に身を包んだこずえが、大きなクマのぬいぐるみを抱きしめて、熱心に何かを語りかけていました。 「こずえちゃん、お疲れ様! 撮影、すごく可愛かったよ。……って、何してるの?」 片付けを終えた千枝が、不思議そうに覗き込みます。 「あ、ちえ……。……いま、大事な相談中」 「ぬいぐるみさんと? もしかして、お腹が空いたとか?」 「ちがうの。……この子、おうちに帰りたくないって。……お菓子がもっと食べたいって……言ってる」 「えっ、そ、そうなの?(さすがこずえちゃん、想像力が豊かだなぁ)」 千枝が苦笑いしながら隣に座ると、こずえは真剣な表情でクマの耳をパタパタさせました。 「ちえ……。この子を、こっそりおうちに連れて帰るには……どうしたらいい?」 「ええっ!? 持ち帰っちゃダメだよ! それはスタジオの備品……あ、いや、大事な撮影道具なんだから!」 「……でも、この子……『ちえのポケットなら入れる』って」 「私のポケット!? 無理だよ、このサイズのクマさんは四次元ポケットじゃないと入らないよ!」 「……じゃあ、ちえの帽子の中……」 「脱いだらすぐバレちゃうよ!」 こずえは「むー」と頬を膨らませると、今度はクマを自分の頭の上に乗せました。 「……こうすれば、こずえの一部……。……髪の毛、ちょっと茶色くなっただけ」 「無理があるよ! 誰が見てもクマさんが乗ってるだけだよ!」 「……バレた?」 「バレバレだよ! もう、こずえちゃんったら……」 千枝がツッコミを入れると、こずえは満足そうに「ふふっ」と笑い、クマをぎゅーっと抱きしめ直しました。 「……うそ。……この子、ここが大好きだって。……また明日も、ここでちえと遊びたいって……言ってる」 「あ……なんだ、冗談だったの? もう、びっくりさせないでよ」 「……えへへ。……ちえ、おもしろい」 「もう! ほら、プロデューサーさんが呼んでるよ。クマさんにバイバイして、着替えに行こう?」 「……うん。……バイバイ、茶色いの。……また明日、こずえを可愛くしてね」 こずえは最後にクマの鼻にちょんと触れると、千枝の手を引いて、ふわふわとした足取りで楽屋へと向かっていきました。
茜色の廊下で待つ君
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放課後の誰もいない廊下。窓から差し込む夕日が、エミリアの銀髪を黄金色に縁取っていました。 「あ、スバル!……遅いじゃない、もう」 駆け寄ってきたスバルに、エミリアが少しだけ頬を膨らませて振り返ります。胸元のリボンをぎゅっと握る手から、緊張が伝わってくるようです。 「悪い悪い、日直の仕事が長引いちまって。……って、エミリアたん、その格好めちゃくちゃ似合ってるな!マジでマジで!」 「もう、スバルったらまた大げさなんだから。でも……本当に、変じゃないかしら?この『せいふく』っていうお洋服、なんだかスースーして落ち着かないの」 不安そうにスカートの裾を気にするエミリアに、スバルは大きく親指を立てました。 「変なわけないだろ!銀河一、いや世界線を超えて一番可愛いよ。放課後の教室で二人きり、これぞまさに青春の極み……!」 「また難しいこと言ってる。……ねえ、スバル。さっき言ってた『あいすくりーむ』、まだ売ってるかしら?スバルがそんなに熱心に言うから、私、気になって……」 エミリアが上目遣いでスバルの顔を覗き込みます。その瞳には、夕日の光と少しの期待が混じっていました。 「おう、購買の自販機ならまだあるはずだ!よし、ダッシュで行こうぜ。奢ってやるよ!」 「ええ!ふふっ、急がないと日が暮れちゃうわね。……あ、待って、スバル!手、繋いでいってもいいかしら?」 差し出された白い手に、スバルは一瞬言葉を失います。 「……そりゃもちろん、喜んで!さあ、放課後のデートに出発だ!」 二人の影が長く伸びる廊下を、楽しげな足音が駆けていきました。
銀盤の森のホットドリンク
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一面の銀世界。吐き出す息が白く染まる中、エミリアは大事そうに青い缶を握りしめていました。 「ふふっ、これ、すっごくあったかいわね」 隣を歩くスバルに、エミリアが顔をほころばせます。 「だろ?冬の自販機の定番、『コーンポタージュ』だ。熱いから気をつけて飲めよ」 「こーんぽたーじゅ……。ふー、ふー……。……あむっ。ん、おいしい!とっても甘くて、なんだかホッとする味だわ」 一口飲んで目を丸くするエミリア。寒さで少し赤くなった鼻先が、なんとも愛らしく動きます。 「気に入ってくれてよかったよ。エミリアたんは寒さに強いイメージだけど、やっぱり温かいものは別腹だよな」 「もう、スバルったら。いくら氷の魔法が使えても、心までは凍ってないもの。こうして一緒に歩きながら飲むと、いつもよりずっと温かく感じるから不思議ね」 エミリアは再び缶を口に運び、満足そうに喉を鳴らしました。 「ねえ、スバル。あっちの大きな木の影に、パックも呼んであげましょう?きっとこの『温かい』を教えてあげたら、あの子も喜ぶと思うの!」 「いいぜ。じゃあ、戻ってもう一本買ってくるから、ここで待ってろよ?」 「ええ、待ってるわ。急がなくていいから、転ばないように気をつけてね」 真っ白な森に、エミリアの鈴を転がしたような笑い声が優しく響きました。
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