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小説『師弟Overture』
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小説『師弟Overture』

全体公開

夢幻宮は微睡みに霞みとなって 朝になれば塵となる。 夢幻宮は夢と悪夢が交錯した 不思議な空間、その世界に 魔王ミオタンによって召喚され、 この空間にやってきたのが、 伊万里永造先生である。 伊万里永造先生は魔王ミオタンから、常世でしょうか夜将軍の代理および、殿を努めてほしいと頼まれ、魔王の頼みならばと、他の非常勤常夜将軍らと共に、撤退する魔王軍の援護に回っていた。 その姿を見て、教え子の山縣は胸がグッとくるものを感じつつも、 先生がいるべき世界は、 アリアケノリノリ高校にあるとして、意思を固め、剣を向ける。 伊万里永造の世界は… 夢幻宮ではなく、 アリアケノリノリ高校なのだということを、実力を以て示さねば 退くことはないだろう 対する、伊万里先生も この世界が ずっといていいとは 思っておらず、 しかして、夢幻宮の魅力が 書けば書くほど 浮かんでゆく発想の苦悩に 苛まれていた。 だけど、作りたい 綴りたい、その意志が 歪みとなって、夢幻厄災 を構築していたのだということを… だから、あの時の 松尾ニャショウの一節 つわものどもにゃゆめのあと は、伊万里先生が 国語教師ゆえに反映された ものだったのである。 点と点が繋がり線となる 夢幻宮を構築したのは、 夢エリという 物語じみた世界を作ったのは こうした、書くのが好きな者達が紡いだ世界だということを… 虚構か真か… 空想という糸が繋げ、 夢と微睡みの塔を作ったということを知りつつ… 頭の中の霧が晴れていく 感覚を覚える。 そうとなれば、 目覚めねばなるまい… 霧にまみれた 場所に光が射す 先生を助け出さねばと 帰ってこられないのやもしれない 戻らねば、ずっとここにはいられないから… 帰らねば、ずっとここにいたら 壊れてしまうから… 魅力的で魅惑的、なればこそ、 乗り越えなければ 明日は迎えられないのだから 目が覚めて始めて生きてるってことを 先生に示す 圧倒的力を有していても 前へ前へと進めるのは 感謝と尊敬があったからこその ものであるから… 山縣が剣に込める願いは 憎しみでもなく、悲しみでもなく 全力のありがとうだった! 時は停止できない 無限ではない 有限だ なればこそ、 生きとしいける者は老い 輪廻転生する… 永遠などないことを 剣に込めて 日常へと戻らんと 振るう剣によって 虚構は晴れる。 山縣の剣がもたらす 光に、伊万里は 救われる。 そして、先生は 日常へ 山縣もBlau協会として 街の人々を守る任務に 励む。 ラーメンを食らいて 師を思う 時、同じくして 弟子を思う。 夢幻宮は虚ろへと眠り 世界は静謐のままに均衡が保たれんとする。 ー完ー (前作・全年齢) https://www.chichi-pui.com/posts/c13961c4-0105-4129-a798-e888a898ad6b/